二度目のイスラエル到着とモシャブのロッジ

訪問日: Feb 13-15, 2016

ロゴス・ミニストリーが2016年2月に第2回聖地旅行を実施することになり、私たちも参加することにしました。今回は、ヨルダンのアンマンから入って南下し、ペトラを訪問した後エイラットからイスラエルに入って北上するというものです。 私たちは、折角だからもう少しイスラエルを味わいたいということで、前回同様、現地で合流し現地でお別れして、前後に数日間の自由旅行を組み込みました。また、前回はトルコ航空でイスタンブールを経由してテルアビブ空港に入りましたが、今回は中東情勢が悪化していることからトルコ経由は避けて、大韓航空で中部-仁川-テルアビブとしました。そのため、テルアビブのBen Grion空港に到着したのは夜20:20となりました。

その日の夜は、空港から比較的近くにあるSpa HadarimというB&Bホテルを予約していました。夜にイスラエルの空港でタクシーを拾うのは不安だったので、事前にホテルのオーナーであるロニーさんにメールでお迎えタクシーをお願いしたのですが、ロニーさんいわく、その必要はないとのこと。なぜなら、ベングリオン空港は、世界で最も治安がよく、夜中の3時でも安心して歩けるし、タクシーはすべて空港当局に管理されていて、行先によってコンピューターで運賃が計算され、常に管理人が見張っているので大丈夫とのこと。ネットで調べた旅行記事にもそのようなことが書かれていたので信用することにしました。

到着ロビーを出て、タクシーコーナーへ行く前に、念のためロニーさんに電話してみると、どうも様子がおかしいのです。電話をしても誰もでません。しばらくベルが鳴った後、やっと年配の男の人がでたので、英語で予約の確認をしようとしましたが、どうも話が通じません。英語が分からないようで、ヘブライ語で話してきます。どうも、「Tomorrow, Tomorrow!」と言っているようです。ヘブライ語で「レーカ!レーカ!」とも言っていました。なかなか英語が通じなくて焦っていると電話が切られてしまいました。(後日、ガイドの恭仁子さんに聞いたところ、「レーカ!レーカ!」というのは、ヘブライ語で「ちょっと!ちょっと!」という意味とのこと。)

これは困った、他のホテルを当たってみようかとも思いましたが、もう一度空港の中に戻って、Information窓口の女性をみつけ、事情を話して、このホテルに電話をかけてヘブライ語で聞いてもらうことにしました。窓口の女性は気持ちよく対応してくれて電話で先方と話をしてくれました。すると、「あなたの予約は明日になっていますよ。」との返事。そんなことはないですよ、ちゃんと今日14日の予約になっていますよと言って、印刷した予約情報を見せると、「今日は13日の土曜日ですよ。」とのこと。

そこで、やっと私の間違いに気が付きました。予定表を作成する時に、13日の朝に日本を出発すると、イスラエルにはその日の夜に到着するところを勘違いして次の日にしていたのです。

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それで、なんとか今日泊まれないかと聞いてもらうと、大丈夫、泊まれますとのこと。それで、このホテルに向かうことにしました。

タクシー乗り場へ行くと、一人の男の人が声をかけてきました。普通の服装だったので警戒していると、「私がタクシーの管理人だ」とのこと。それで、タクシーを手配してもらってホテルに向かいました。シャバットなのでユダヤ人のタクシーはすべて休み、運転手はアラブ人の女性だったためか、彼女はそのホテルの名前を聞いたことがないとのことでしたが、電話でホテルの人と連絡を取って無事入り口のゲートに到着しました。このホテルはSitriyaというモシャブ(家族単位の共同経営集落)にあり、その集落の入口には鉄網のゲートがあって夜間は閉まっていましたが、入り口で電話を掛けると、電動ゲートが開いて中に入ることができました。更に道を進んでいくと下のような寂しい場所に到着、そこにロッジの女性が待っていてくれました。(下の写真は、翌朝撮ったものです。)

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タクシーにお金を払い、ホテルの女性に案内されて、両側に壺が飾られた小さな路地を入っていくと、

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ロッジ・スパ・ハダリム(Spa Hadarim)の入口がありました。

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門をくぐって奥に入ると、芝生の中に小さなロッジがいくつか建っていました。

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一番奥のロッジに案内されて入ると、一階はキッチンとリビングのある広い部屋になっています。

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キッチンの隣に階段があり、その上はロフトになっていて、

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こじんまりしたベッドルームになっていました。

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荷物を置いて、案内してくれた女性の説明を聞いて、しばらくすると、オーナーのロニーさんが入ってきました。この日は、土曜日なのでユダヤ教の安息日(シャバット)でした。それで、彼は家族とオペラを見に行っていたとのこと。観劇している最中に緊急電話が入ったので、あわてて電話をおしりの下に隠したんだよと言って 笑っていました。私のミスで大変ご迷惑をおかけしました。

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とりあえず、ホテルに着いてホッとできたことを神様に感謝! ベッドに入って眠ろうとしたのですが、なかなか寝付けません。イスラエルと日本との時差はマイナス7時間(冬時間の場合)、イスラエルでは夜の11時ですが、日本時間では朝の6時です。部屋に用意されていたワインを飲みながらしばらくテレビを見ることにしました。

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テレビではキッパを頭にのせたたくましい男の歌手が歌っていました。その背後にたくさんの軍人の男たちが並んでいました。ユダヤ教の歌なのかどうか、変わった雰囲気でしたが、心に響く素晴らしい歌声でした。

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このホテルの売りは、スパ・ハダリムと名づけられているように、立派なスパがあることです。お湯を張るのにずいぶん時間がかかりましたが、ゆっくり入って温まった後就寝しました。

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スパは、屋外の芝生の中にも用意されていました。こちらも利用可能だそうです。勿論、水着を付けて入るのですが、ちょっと気が引けてやめました。

驚くべきは、このスパも、ロッジも、配管とか、ガーデニングや、家具や建物の製作・修理なども、すべて、ロニーさんの手作業なのだそうです。ロニーさんは、大工仕事や庭仕事が好きなことと、自分で作ったものでお客さんが楽しんでくれることが自分の喜びなのだと言っていました。ホテルの宿泊料金は、やや高めなのですが、その分、楽しめるように工夫しているとのこと。

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こんな形のバーベキューコンロもありました。これなら、煙が出てもけむくないですね。

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翌日の朝食は別棟の食堂に用意されていました。行く途中の通路沿いにも、花や人形など、いろいろな飾りがあって楽しめます。これらも、すべてロニーさん手作りとのこと。

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朝食のメニューも、これまた豪華なものでした。

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最初に、ホットな甘いアップル・ティーが出てきました。そして、12種類の小さなお皿に入ったディップ・ソース(パンにつけて食べます)。中東的なイスラエル料理の味付けで中身はよく分かりませんが、大変美味。これらもすべてロニーさんが料理したとのこと。

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パンも数種類のものが盛りだくさん。

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新鮮な野菜サラダにスクランブルエッグ、ミルク、はちみつ、各種ジャム、オレンジ・ジュース、などなど......

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焼きたてのピザも出てきました。ロニーさんは私たちの食事中ずっと料理して、できたものを運んで来てくれながら、話しかけてくれました。あまりのご馳走に、食べきれないので、少し、ランチ用に持ち帰りました。

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他にお客さんがいなかったこともあって、食事のあともしばらくロニーさんと話しをしました。彼は、一時、東ヨーロッパへ行って働いた後、この地に戻ってきたそうです。いろいろな仕事を経験したとのこと。両親から引き継いでこの地に住んでいるそうです。ユダヤ人はヤコブの12人の息子を先祖とする12部族から始まりましたが、先祖はどの部族だったのですか?と聞いてみると、レビ族とのこと。コーヘンという名字で、その名前の人は皆レビ族だよと教えてくれました。コーヘンとは、旧約聖書に出てくるモーセの兄アロンの子孫、ケハテ族のことだと思い当たりました。他にもいろんな話をしてみました。彼の子供たちは、娘も息子も、海外で暮らしているとのこと。確か、インドとアメリカにいるそうで、ロニー夫婦は毎年子供たちの家族を訪問しているそうです。イスラエル人は家族の絆が強いと感じていましたが、ロニーも家族とのつながりを大切にしているようです。また、イスラエルは物価が高く、暮らしにくいとのこと。彼は私と同じ60代なので(彼の方が5歳ほど若いのですが)、年金の話にもなり、日本では年金の支給開始は65歳だというと、イスラエルは財政がひっ迫しているので今は67歳からしかもらえないということでした。

到着日を間違えたことで、一日余裕ができました。そこで、このロッジのあるMoshav Sitriyaを散策することにしました。Moshav(モシャブ)というのは、Kibbutz(キブツ)のようなイスラエル人の共同体の集落なのですが、Kibbutzがすべてを共有する共有財産方式なのに対して、Moshavは家族単位の集まりで、財産はそれぞれ個別に所有しています。農場などは共有なので、ロニーさんいわく、オレンジ畑のオレンジの実は自由に取って食べてもいいよ、とのこと?? その代わり、Moshavのメンバーは、国税、住民税の他に、収入に応じた税金的なものをMosahvに払わないといけないとのこと。

ロッジを出て少し歩くと、小さなGrocery Store(食料品店)がありました。窓がないので、閉店しているかと思いましたが、扉を開けると営業していました。

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入り口わきで女性が店番をしていました。

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お菓子から化粧品、ワイン、文房具、日用品まで、日々の生活に必要なものはなんでもありそうです。

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お菓子、調味料、飲料水、トイレットペーパー、、、、

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野菜は大きなものが豊富に揃っています。柿もありました。バターナッツやコールラビ、ビートルートなど、日本では珍しいものが豊富に売られています。この集落でとれたものでしょうか。

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牛乳やヨーグルト、チーズなど、乳製品も豊富です。

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雑貨屋を出てしばらく歩くとバス停がありました。屋根の上に猫がいます。

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田舎道を歩いていくと。

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その先には、広いオレンジ畑があり、

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オレンジがたわわに実っています。放し飼いの大きな犬が近づいてきたので戻ることにしました。

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ふと、道端を見ると、なんと、クジャクがいました。野生のクジャクでしょうか?

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その先には鶏舎があり、鶏の声がにぎやかです。

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戻って反対側の道を進むと、住宅街に続きます。子供を乗せたバイクが通りました。

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バス停前で子供を降ろして去っていきます。

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変わった形の4輪バイクも通りました。よく見ると、前に小さな座席が2つ、後ろにも小さな座席が1つついています。前と後ろに3人の子供を乗せていました。そして、バス停で子供たちを降ろしていきました。

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しばらくすると、大きなバスが到着。観光バスのような立派なバスです。

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荷物を背負った子供たちが乗り込みます。通学バスでした。子供たちに「ボケル・トーブ」と声をかけると、「ボケル・トーブ」というかわいい返事が返ってきました。「ボケル・トーブ」とは、ヘブライ語で「おはよう」という意味です。

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バスが動き出しましたが、遅れてきた子供を待って乗せていきました。

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このあたりは、このMoshavの中でも高級住宅街のようです。きれいな家が多く、左手の大きな家の屋根には太陽光発電パネルがたくさん貼られています。

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集落を一周して、ロッジの見えるところまで戻りました。左手に小さく見えるのが私たちの借りたレンタカーです。手前の雑草が茂っているように見えるところもロニーの所有地で、小麦の種を撒いたのが成長してきたとのこと。小麦が実ったら粉にしてパンを焼くそうです。

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到着日を勘違いしたことで、1日余分に滞在できることになりました。これはラッキーと思い、レンタカーを借りてテルアビブ近辺を楽しむことにしました。ロ ニーにレンタカーを借りたいのだがと言うと、イスラエル人の運転は荒っぽいからやめた方がよいとのこと。しかし、3年前に来た時もレンタカーで回った経験があるので大丈夫だと言ったら納得して、それなら、近くにシュロモ・レンタカーのオフィスがあるので連れて行ってやろうということになり、彼の車に乗ってレンタ カーを借りに行きました。そして、なんとご親切に、すべての借り受け手続きを一緒にやってくれました。そのオフィスの担当者は、ヘブライ語しかできないよ うなので大変助かりました。NAVIも借りたかったのですが、そのオフィスでは借りられないとのこと。困っていたら、ロニーが、それではWAZE(ウェイズ)を使うと いいよと教えてくれました。WAZEとは、世界的に普及しているスマートフォン用のNAVIアプリです。私のタブレットをWifi でつないでWAZEアプリをダウンロードし、早速使ってみました。SNSで情報を共有するNaviになっていて、各ユーザーがアップした交通情報を瞬時に 知ることができるすぐれもので、日本語にも対応していました。驚くことに、このアプリの開発者はイスラエル人だそうです。

レンタカーの返却の時にもロニーは車で付き添ってくれ、大変助かりました。3日間、本当に良くしてくれて、イスラエル人のおもてなしの心を感じることができました。Toda!(Thank you!)

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Lodge Spa Hadarim
ロッジ・スパ・ハダリム
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