Mt. Carmel (カルメル山)

訪問日:20 Feb 2013

カイザリアからバスに乗って北上すると右側に山地が見えてきますが、これがハイファから南東に伸びるカルメル山系の南端です。

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カルメル山でのエリアの物語は、列王記上の18章に詳しく書かれています。

ソロモン王の死後、イスラエルが南北に分裂してしばらくした後の北王国のアハブ王(在位BC874-853)の時代の話です。聖書ではアハブ王はイスラエルの主である神に背いた悪い王として記されており、異国から妻イゼベルを迎え、異国の偶像崇拝の神バアルにひれ伏し、イスラエルの主である神に仕える預言者を迫害しました。数年間の飢饉を預言した預言者エリアは迫害を恐れて逃げていましたが、実際にひどい飢饉が起こると、再びアハブ王のところへ戻り、カルメル山の山頂でバアルの預言者450人と、どちらが雨を降らせることが出来るか、即ち、どちらの神が本当の神なのか、という霊の戦いに挑んで勝利しました。そして、バアルの預言者たちをキション川に連れて行って殺しました。この写真はこの勝利を記念して建てられた像です。

この後、激しい雨が降ってきて旱ばつは終わりましたが、そのことをアハブ王が妻のイゼベルに告げたところ、バアルを信奉していたイゼベルは怒って、エリヤを追いかけて殺せと命じました。エリヤは恐れて南へ逃げ、ベエルシェバを通り過ぎ、シナイ半島のシナイ山まで逃げ、そこで神の言葉を聞きました。

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ここカルメル山の頂上からは、緑豊かなイズレエル平原が見渡せます。山麓にはアーモンドの木が規則正しく植えられており、花が満開で、日本のサクラの花のようです。この平原を通るのが、エジプトとシリアのダマスカスを結ぶ古代からの幹線道路ヴィア・マリス(海沿いの道)です。もう少し南にあるメギドのところで右に曲がってダマスカスへ向かう道もありますが、両方ともヴィア・マリスとのことです。イスラエルには山地が多く、戦争をする広々とした場所が少ないので、このイズレエル平原や、エラの谷、アヤロンの谷といった広いところでは古代から多くの戦争が繰り広げられてきました。この平原で最後に起こった戦争が、イギリスのアレンビー将軍がオスマントルコを破り、英国の委任統治へと導いた戦争です。

このイズレエル平原の南側にメギドと言うところがありますが、その丘をハル・メギドと言います。少しなまって、ハルマゲドンとなります。つまり、ヨハネの黙示録16章に世界の終末の戦いとして書かれている「ハルマゲドンの戦い」の場所は、この平原ということになります。

いずれにしろ、このヴィア・マリスという道路は、平和な時は隊商が行き来し、戦争の時は軍隊が行き来する、永い歴史が通り過ぎた道です。

以上は、ガイドの恭仁子さんの説明からでした。

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恭仁子さんは、この周囲の様子について更に説明してくれました。下の写真の左下の白いビルと右上の赤い屋根の集落(ヨクナンの町)の間にある古墳のような小さい丘は、テル・ヨクナンの遺跡だそうです。

(参考) Tel Yokneam: Yokneam appears in the list of 119 conquered cities by Egyptian Pharaoh Thutmose III after the victory in the Megiddo battle (1468BC). Yokenam is mentioned in the Bible as a city of Levites within the Israelite tribe of Zebulun (Joshua 12:1, 12:22, 19:10-11, 21:34). It is located near Megiddo (Wikipedia).

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また、下の写真で、車の通っている道の向こうの左側に小さい緑の丘が見えますが、その手前にぐにゃぐにゃとした小道のようなところが、キション川だそうです。ちなみに、この小さい丘も Tel Kassisという2層のテル(遺跡の丘)で、アシェル族の地域の東南端にあたるそうです。

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カルメル山の頂上には、小さな教会のある修道院があります。ここは男性修道士が生活するところで、19世紀にカルメル派の修道会によって建てられました。

 

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礼拝堂はこじんまりとした簡素な造りで、祭壇には12の石が使われています。この石はイスラエルの12部族を表わしているとのこと。

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このあたりには、野生のシクラメンがたくさん咲いていました。そもそもシクラメンの原産地はイスラエルだそうで、石灰岩の多い土地によく育つそうです。

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岩の間にアネモネの鮮やかな花も咲いていました。アネモネもイスラエルをはじめとする地中海の東の沿岸部が原産地だそうです。

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